私の楽しみの一つは秋のヒラメ釣り。例年、外房エリアの解禁に合わせて出かけているが、今期は台風がきたりして天候が安定せず、なんやかんやでやっと出かけられたのは10月15日、大原港の天の清栄丸へ向かった。
ヒラメ船に集まったのは私を含めて5名。右舷3名、左舷2名が並び、私は左舷のミヨシに入った。
出船前、船長に近況を尋ねると、全体的にはあまり芳しくないとのこと。しかしながら沖のポイントでは1〜2キロのマハタがよく交じるそうで、この日もヒラメ&マハタの両魚を狙うと話してくれた。「ちょっと走りますのでキャビンでくつろいでください」
メンバーがそろい、準備が整ったところで4時20分に出船し、5時40分に太東沖のポイントに到着。
太陽はまだ顔を見せておらず、東の空が赤い中でエサのイワシが配られる。サイズは17〜18センチといったところ。
「はい、いいですよ。最初は水深55メートルです」と船長の合図とともに仕掛けを投入。
天気は晴天、風は北からそよそよ。しかしながら、数日前のシケの余波だろうか、けっこうなウネリをともなっていた。「ここは下に沈船があって、その周りを狙っていきます」
水温は25度、潮は0.3ノット。そんな中、船は帆を立てて流していく。
深場狙いでスタート
最初にリールを巻いたのは左舷トモ氏。アタリはあったものの食い込まなかったようで、エサのイワシにはヒラメにかまれた跡が残っていた。
その様子を目にした直後、タモを持った船長が駆けつけた先は右舷ミヨシの女性。聞けばオマツリをほどいている最中にアタったそうで、タモに収まったのは35センチ級のヒラメだった。
その写真を取り終えた6時過ぎ。再び左舷トモでリールが巻かれ、今度は激しくヤリトリする様子が見てとれる。
「落としている最中に食われたんですよ」
やがて上がってきたのは60センチほどのシイラだった。取り込みを終えたところで船長に聞くと、水温は例年よりも3〜4度も高いという。どうやら外房の海は10月中旬になっても夏のままらしく、以降は各席ともシイラにやられながらの展開となった。
さて、このポイントでは約15分間隔で流し変えを繰り返していたのだが、6時40分、「上げて」のアナウンスがあったところで左舷トモ氏にヒットした。
「なんかモゾモゾしていたんですが、合図に応じて少し巻き上げたところガツンときました」
無事に取り込まれたのは1キロ級のヒラメだった。
その後はしばらく沈黙が続いたが、7時半に右舷トモで1キロ級のヒラメ、それに続いて隣の胴の間で1キロ級のマハタ。沈船周りでは両魚とも同じようなところでヒットするようだ。
そして、7時55分には右舷胴の間氏に再びアタリがあり、取り込まれたのはヒラメ。しかしながらサイズが30センチに満たないことから即放流となった。
ヒラメを釣るための三つのコツ
天野船長によればヒラメ釣りのコツは主に三つ。まずはエサのイワシをていねいに付けること。二つ目はタナ取り。大原エリアでは根の周りやカジメのあるところを狙うことも多く、その場合のタナは根掛かり対策のため底から1~2メートル上にする。三つ目は合わせ方。こちらは早合わせは厳禁。しっかりとエサを食い込ませてから合わせを入れたい。
残り1時間で時合
「上げましょう。今度は少し移動して横流しにします」
時刻は8時。次なるポイントは少し浅く、砂地の中に小さな根が点在するエリアとのこと。帆をたたんだ後、10分ほど走ってすぐさま再開となる。水深は35〜40メートルとアナウンス。
これを機に私も仕掛けを下ろす。タナはオモリを底から1メートル上を目安とするが、ウネリが高いのでオモリが底をたたかないようにしながらアタリを待った。
すると、すぐさま左舷トモで80センチのシイラがヒット。その取り込みを見に行っていたら、私の竿がたたかれた。席に戻ってリールを巻くと、ヒラメらしき重量感がなく、それに代わって連続して引き込むような手応え。青物かと思ったが、姿を見せたのは35センチほどのキントキ。
その後はシイラがポツリポツリとヒットしながら時間が流れる。風はいつの間にやら南に変わり、気温も上がって夏のようなムードとなる。
しかしながら、この日は沖揚がり前にもう一つヤマ場が訪れた。
10時15分、右トモで2キロのヒラメが上がったのを合図に、その10分後には右舷ミヨシで1キロ級のマハタ。さらに15分後には再び右舷トモ氏に同サイズのマハタがタモ取りされた。
この日は11時20分に沖揚がりとなったが、私以外の4名はいずれもヒラメ、マハタといった本命をゲット。不調といわれながらもそこそこの釣果が得られた。
船長に聞いたところでは、水温さえ下がれば例年どおりの釣れ具合になるだろうとのこと。そうなれば私も再チャレンジしてみたい。
◀︎ 当日の仕掛け
天の清栄丸では8 0 号オモリを使ったノーマルと、50 ~ 60号オモリを使ったライトの2つの釣り方ができる。道糸はノーマルならPE3~4号、ライトはP E1.5 ~ 2号。その先は共通で、幹糸6号前後、ハリス5号前後、捨て糸3~4号。親孫間はイワシのサイズに合わせたい。潮が速いときも考慮し、ノーマルは120号、ライトは80号オモリを持参すれば安心。
船宿infomation
天の清栄丸
▶︎料金=ヒラメ乗合一人1万3000円(エサ、氷付き))
▶︎備考=予約乗合、4時半集合。ショウサイフグ、一つテンヤマダイへも出船