並寿司からはタコの握りが消え、タコ焼きのタコは小さくなった。原因は世界的にタコのうまさが知れ渡り需要が高まったからなのかもしれない。地ダコともなれば今や和牛やマグロより高いのでは思うほどマダコは高級食材となってしまった。となれば釣りに行くしかあるまい。
ということで10月27日に釣友と茨城県大洗港の大栄丸へ出かけてきた。
開始から乗り乗りモード
大洗沖では10月に入るとタコの模様がよくなりトップで20杯を超える日もあるなど期待は十分。受付を済ませて5時に11名で出船となった。
ポイントの大洗沖に30分ほどで到着すると、大川船長の開始の合図とともに仕掛けが投入される。
水深は25メートルほど。このエリアは海底にゴロタ石が敷き詰められたようなフィールドとなっているが、きつい根がないので根掛かりのリスクは少ないことが特徴。
タコはそのゴロタ石を抱いて上がってくる場合があり、「こいつはデカイ」と思ってヌカ喜びしていると釣り上げてみて「あれっ?」となるパターンも多い。
開始早々、右舷トモ2番の寺田さんと左舷トモの松下さんが600グラムほどのタコを取り込んだが後が続かず、すぐに移動。するとここで乗り乗りモードに突入した。
最初に左舷ミヨシ2番の鎌田さんが1キロほどのタコを釣ったのを皮切りに左隣の石井さん、その隣の安西さんと立て続けに同級のタコを抜き上げた。
この朝一番がゴールデンタイムだったようで、その後も左舷を中心にバタバタとタコが釣れ上がる。
しかしここに移って30分の間に左舷では全員が2〜3杯のタコを確保したのに対して、右舷では寺田さんが3杯確保したに留まっていた。 どうやら左舷が潮先となっているからのようだ。
左舷有利の傾向はしばらく続いたが、タコの活性が高いので右舷でもポツポツとタコは釣れ、胴の間の髙橋さんが1キロのマダコを釣った時点でオデコは釣友の塙君だけとなってしまう。「おい、早く釣れよ。全員の写真を撮らないと釣りができないじゃないか」とプレッシャーをかけると、そのかいあってか彼にも待望の乗りが到来。エイッと合わせを入れて巻き上げ、私の差し出すタモに収まったのは1.2キロのマダコだった。
「よしっ、目標達成まで残り4杯だ」と塙君。聞くとあちらこちらからタコの注文を受けてきたらしい。
マダコ釣りワンポイント
タコの乗りを感じたらしっかりと乗せてから力強く大きく竿をあおって合わせよう。巻き上げは一定速度で行い、ポンピングしたり竿を上下させないこと。取り込みはタモのアシストを仰ぐ。
この重さはタコか石か
しばらくして彼が2杯目を釣り上げた8時少し前になって私も釣りに参加。今や定番となっている豚の脂身と、より匂いが強いベーコンをタコ餌木に巻き付け投入する。
しばらく小づいているとグッと重くなった。一呼吸置いた後にエイヤッと力強く合わせを入れるとガツンとした手応えで竿が立たない。あちゃ〜根掛かりか……。
何度あおっても外れずに仕掛けのロスを覚悟したところでなんとかリールが巻けるようになった。しかしかなり重く、とても手に持って巻けるような状態ではない。タックルをキーパーに掛けてジリジリと巻き上げる。
どうせゴミでも掛かっているのだろうと思っていたのだが、海面に浮かび上がってきたのはタコ。慌ててタモのアシストを頼んで取り込んだのは1.5キロのマダコだったが、コブシ大を含めて4つも石を抱えていた。
その後しばらく沈滞モードとなったが、9時を回ったところで再び乗り乗りタイムが訪れる。
コツコツと小づいているとムニュッと穂先が押さえ込まれたので、しっかり乗せてから合わせを入れると今度もかなりの重量感だ。
また石を抱いているのかしらん?
と思ったが、釣れ上がったのは2キロ弱のグッドサイズのマダコだった。
気をよくして再び小づいていると2杯目、3杯目とすぐに乗ってきてどちらも1キロ級と申し分ない。
船内でも次つぎにタコが取り込まれ、中でも船長に「取材だから応援にきてくれ」と頼まれたというタコ釣り名人の石井さんは絶好調ですでに10杯を超えている。
石井さんの小づき方はとくにほかの人と変わりはないが、3本付けた餌木にはどれも豚の脂身を巻いているのと、ヒラヒラの集寄グッズを多めに付けていた。
沖揚がり1時間前には再び私の仕掛けにタコが乗ったが、合わせた後にすぐに外れてしまう。 タコはエサに対する執着心が強いのですぐに仕掛けを海底まで落として、より派手に小づいていると乗り直してきて800グラムを釣り上げる。
私が7杯目を釣り上げたところで沖揚がりの11時を迎えた。釣果は0.5〜2.2キロが4〜16杯で総数は90杯、ほとんどが1キロ前後と型もよかった。
釣友の塙君も目標の5杯に達したので大満足のご様子。
タコは冷凍保存も効くので、お正月用のタコを確保しに出かけてみてはいかがだろう。常磐ダコは風味があり味も絶品ですよ。
◀︎ 当日の仕掛け
常に小づき続ける釣りのため、全長2メートル以下で胴がしっかりした竿が使い勝手がよい。餌木タコ専用タックルやヤリイカ竿、30 ~ 5 0 号負荷の9:1~8:2調子がおすすめ。餌木は3 . 5 ~ 4号を2~3個装着。集寄アイテムも各種販売されているので、何種類か用意するといいだろう。
船宿infomation
大栄丸
▶︎料金=マダコ乗合一人1万円。氷付き
▶︎備考=集合4時半、出船5時。無料駐車場あり