東京湾のライトアジは手軽で数が釣れ、食べてもおいしいと三拍子そろっていることから瞬く間に人気となった。水深も浅く、釣りの難易度も高くないことから沖釣り入門や仕立船で楽しむには持ってこいのターゲット。11月9日、ライトアジ取材で東京湾奥品川のひらい丸へ出かけた。薄暗い中、私を温かく迎えてくれたのは船宿入口にある「船宿平井」と書かれた提灯の灯り。風情がありいかにも江戸前の船宿といった趣を醸し出していた。
笑顔が絶えない船上
しばらくすると、乗合のお客さんが集まってきた。ベテラン3名と9名のグループが本日のメンバーだ。グループの内訳は、いとこ4家族。何かみんなで楽しめるイベントはないかと相談し、沖釣りに決まったとのこと。取材のあいさつをすると、「えっ?雑誌に載るの?だったら100尾釣るよ」と意気盛んなのは斎藤雅晴君(小5)。
しかしこのグループは沖釣り経験が数回の2名と残り7名は初挑戦。そこで出船前に高橋広司船長によるアジ釣り教室が開催された。「着底を確認したら、竿は下向きのままハンドルを2回転。その位置で海面から水平の位置までキュッと竿を持ち上げてコマセを振ったらまたハンドルを2回転すればタナの2メートルです」と教えると、フムフムと全員が真剣な眼差し。続けて、「ビシが海面に見えたら竿を立ててビシをつかんでコマセのオケに入れ、竿を置いてから両手で魚を取り込んでくださいね」とアドバイス。
7時過ぎに出船し、ゆっくり航行して8時に木更津沖へ到着。灘寄りで始めたもののアジがヒットしてこなかったために10分ほどで沖へ移動。沖といっても水深は8メートルと浅い。「海底から2メートルでやって」と船長から開始の合図。
萩原さんが20センチ級のアジを釣り上げると息子の将智君(小5)も同級をゲット。グループリーダーの斎藤さんがあとに続けば斎藤晃子さんもダブルでアジを釣り上げ船内はヒートアップ。
だが、聞くのとやるのとでは大違い。いくら教えてもらったからといっても実践するとすっかり頭から飛んでしまって、仕掛けを竿先まで巻き過ぎてビシをつかめなかったり、オマツリしたりでトラブル続発。
それでもしばらくすると徐々に皆さん釣りに慣れてきたのかトラブルも減り、ワイワイと楽しい会話も飛び出してまるでピクニックのような雰囲気。もちろん100尾釣ると意気込んでいた斎藤雅晴君もアジを釣って大喜びだ。
そんな中、一人釣れていないのが吉本宏香さん。息子の賢豪君(小6)のオケの中には5〜6尾のアジが泳いでいるのにどうしたことだろう。
彼女のタックルを借りて実釣してみたところ、3メートルほど落としたところで道糸が絡んでいてそれ以上落ちない状態だった。これでは釣れるわけがない。さっそく直したところすかさずアジがヒット。息子さんと笑顔の2ショットを撮らせていただく。20〜22センチのアジに時折30センチに迫るサイズを交えて入れ食い状態がしばらく続いたので、10時を過ぎたころにはベテランの永山さんは46尾を数えた。
バーベキュー船なら仲間とワイワイできる
仕立限定のシステムとなるが、ひらい丸では帰港後に船宿のテラスをバーベキュー会場として開放してくれる「バーベキュー船」というシステムがある。
バーベキュー道具はそろっているので食材を持ち込むだけでいい。釣った魚を料理してみんな食べるのは楽しいですよ。
超浅場で入れ食い
そこで私も撮影の合間に釣りに参加。コマセを振ってタナまで誘い上げた直後にビビビッと明確なアタリがきて20センチのアジを取り込む。
次の投入では24センチがヒット。水深が浅いためタックルを絞り込むほどよく引く。
この調子で4連続ヒットしてアジの心地よい引き味を楽しんでいたのだが、その後ポツリポツリの状態になってしまった。原因は潮止まりの時間を迎えたのと、アジもコマセを食べ過ぎて活性が落ちてきたからだろう。11時に移動となり、その後はあちらこちらと実績のあるポイントを転戦したものの、反応はあってもアジの群れが通り過ぎてしまう。
こんな状態が続き今日はこれまでかと思った12時15分のことだった。
水深5メートルの超浅場で再び入れ食いモードに突入したのだ。「タナは1.5メートルです」という船長の開始の合図で投入すると、久しぶりに船内でアジが取り込まれたかと思ったら、次つぎに竿が立ち始めた。底から1メートルでコマセを振った2秒後にはヒット。タナまで上げる前にアジが食ってくるという釣れっぷりだ。
残り時間も少なくなってきたことから、私は3本バリ仕掛けに替えてダブル、トリプルと手返しよく数をのばす。
その後も食いが落ちることなく13時の沖揚がりを迎えた。釣果は16〜28センチのアジを一人8〜68尾。トップは68尾を釣った永山さんで、私は35尾。グループの皆さんも各自20尾は確保したようだった。「楽しかった。春になったらまた来ようよ」とグループの皆さんも満足したご様子。
船着き場に戻ると、一足早く帰港したバーベキュー船の皆さんがテラスで楽しく宴会の真っ最中。ひらい丸はほかに天ぷら船や屋形船もあるので、嗜好に合わせて船遊びを体験してみてはいかがだろう。
◀︎ 当日の仕掛け
オモリ40号なので、全長2メートル前後のライトゲームロッドならどれでも使用可能。ライトアジを看板にしている宿ならレンタルも充実している。仕掛けは2本バリがトラブルが少ないのでおすすめ。
船宿infomation
ひらい丸
▶︎料金=ショートライトアジ乗合一人9500 円(エサ、コマセ、氷付き)、別売りアオイソメ300円
▶︎備考=予約乗合、6時半集合。タチウオへも出船