鹿島沖のマダコが激アツ状態が続いているのは知っていた。なんせ、鹿島沖に渡りの大型が入ってきた2日後に訪れてその釣れっぷりを目の当たりにしていたし、その後も釣果をチェックしては「はあ、あの感触をもう1回味わいたい」と思っていたのだ。
どうにかして再訪の機会はないかとうかがっていたところ、釣行レポート取材の指令が。「その後の状況を読者の方がたにお伝えする」という大義名分ができたのをいいことに、11月29日に茨城県鹿島港の幸栄丸にすっ飛んだ。
開始1時間は猛ラッシュ
船宿へ3時半ごろに到着すると駐車場は大方埋まっていた。この日はマダコ2隻、マダイ、ヒラメで出船。いつもニコニコの小野慧船長にあいさつして15号船に乗り込む。
2隻で15人ぐらいずつ乗船するようでなかなかの熱気だ。
乗船者にあいさつして回ると、一人の方の餌木ケースの中身がまるでポテトサラダのよう。マヨネーズまみれに見えたのだが、聞けばバターに漬けているのだという。前日からの連続乗船で前日は3杯しか釣れずに再戦したという。
準備中に仲乗りさんが「使うかい?」と聞いて回っていたので豚の脂身を少し分けていただく。これを餌木に輪ゴムでしっかりと装着する。
5時半ごろに筆者合わせて16人で出船。船は北側に進路を取り40分ほどでポイントに到着。「水深は28メートル、オモリは60号でお願いします」のアナウンスでスタート。
左舷から風を受けて流す横流しで開始すると、ほぼ着底と同時に右舷のバター餌木氏が巻き始める。それに続いて数人にも乗った。
上がってきたのは想像していたのより小さく500グラム前後か。そんなのが10分で10杯くらい上がっただろうか。
「まだこんなのもいますから数は結構多いと思います」と船長は言うが、大きいのはもういなくなっちゃったのだろうか?
すると、いきなりスイッチが入ったのかポイントに入ったのか、明らかに竿の曲がり方が違う。手巻きの人は青筋を立てながら必死の巻き上げ。ここから2〜3キロ前後のラッシュが突如として始まる。「左の後ろで上がりましたよ。右前も巻いています」と船長が教えてくれてカメラを持って駆け回る。「今のうちにお土産釣ってくださいよ」と船長に言われるものの、「こっちきたよ」、「あっちのデカそう」ときたもんだから忙しいったらありゃしない。
バター餌木の人は驚きの大型を3連チャンで決める。「最後は一番大きかったですが、海面でバレちゃいました」自席に戻ると仲乗りさんが私のリールを巻いている。撮影に走り回る私の代わりに仕掛けを入れたらすぐに乗ってきたとのこと。そのタコも2キロ前後ありそうだった。
さあ、自分も釣ろうと仕掛けを落とす。餌木を2個付けにして小づき始めた直後に根掛かりのような感触が。仕掛けが斜めに入っているのでどちらか自信がなかったが「エイ」と合わせるとズーン。上がったのはやはり2キロ前後。その直後にも同級がきた。
1時間ほどはまさにお祭り状態で、この時点で5杯以上釣った人も数人いた。根掛かりもほとんどなく釣れ続いた。「平たんなところから磯に近付いたところでよく乗りますね」と船長。
脂と匂いで誘惑する
集魚(タコ)効果があり抱き付き時間が長くなるという理由で、船宿では豚の脂身などを餌木に巻きつけるのをすすめている。最近はバターも人気で餌木をバターまみれにして使うと効果があるのだとか。この日も数人がこれで釣っていた。ちなみにトップの人はバター餌木だった。
終盤も良型が乗り乗り
その後は左右に流し変えながら根掛かりする場所も攻めていったが乗りのペースは緩やかに。風が強くなり釣りづらくなると乗りがパタッと止まってしまい、オモリを80号に変更するアナウンスがある。
中盤は乗り渋る時間帯もあったが、南下しながら探っていくと10時ごろから再び乗りは活発に。根がきつい場所だが3キロ前後がバタバタと乗り始める。
筆者は悪循環に陥っていた。根掛かりだと思っていたらマダコで、合わせが十分じゃなかったのが原因のバラシが続く。逆にタコだと思って思いっきり合わせたら根掛かりでガッチリとハマってロストすること数回。これが逆ならよかったのだけど、完全に負の連鎖に。
それでもあまり釣れていない時間帯に小型を2杯釣ることができた。こちらは成長を願ってリリース。ラストもうまく波に乗れず数をのばすことができず、最初に仲乗りさんが釣ってくれた1杯と自分で釣った4杯で終了。
バター餌木氏とその隣の人は最後のチャンスも確実にモノにして二人が13杯でトップ。10杯以上の人は数人いて5〜7杯の人が多かった。2隻で1〜13杯と好調に乗った。
餌木のカラーはオレンジ、ピンク、白などが強かったようだが見て回ったところ緑、黄色など満遍なく乗っていた。
横流しの釣りは道糸が船下に入り込み小づき辛いこともあるが、タコを乗せるためには仕掛けを海底から浮かせないことが重要だと改めて認識。竿を折る人もいて、この大型が出ている時期は予備のタックルも用意しておくことをおすすめしたい。
持ち帰ったマダコは一度冷凍してからいただいたが、夏場のタコよりも数倍うま味が強かったように思う。
船長によると、釣れていれば年末はもちろん年が明けてからも狙うとのこと。いくら釣れても困らないマダコ。冷凍庫にタコがある幸せをぜひ感じていただきたい。
◀︎ 当日の仕掛け
竿はマダコ用なら硬めのハードタイプを。サイズがデカく竿への負担が大きいので、できるだけ頑丈な竿を選びたい。ヤリイカ用や中深場用などもおすすめだ。電動も同様の理由からパワーに余裕があるものが安心。
船宿infomation
幸栄丸
▶︎料金=マダコ乗合 一人1万2000円(氷付き)
▶︎備考=予約乗合、4時から受付。ほかヒラメ、マダイへも