完全防寒装備が必要となってきた12月中旬。シーズン真っ盛りのヒラメを狙って岩船港の史ふみ丸へ釣行した。
岩船港は大原と御宿の間にある小さな港だが、水深10メートルを切る浅場の根周りで良型のヒラメが狙える穴場的な存在だ。
当日の釣り客は私を含め8人。エサのイワシの積み込みが終わると、まだ冬の星座がはっきりと見える暗がりの中、吉田史明船長の操船でゆっくりと沖へと向かった。
港前の浅場を狙う
朝一のポイントは港を出てほんのわずかに南下した岩船沖。慎重に場所決めをして、「いいですよ。水深10メートル。根掛かりに注意して」と合図が出た。しかしここではアタリがなく、10分足らずで「上げて」となる。
次の流しでは0.7〜0.8キロ級ながらポツポツと上がるも食い気は今イチで、船長は短時間で次つぎにポイントを移動していく。
出船前に船長に聞いた岩船沖のヒラメ釣り場は、根と根の間にある砂地なのだとか。ポイントとなる砂地は狭く、ときには船1隻分の大きさしかない所もあるという。そんな場所の根のヘリ、斜面にヒラメはいるという。

船長はイセエビ網の漁師でもあり、また夏場はアワビ漁もするというから、周辺の根は熟知していてポイント選びはお手の物。勝手知ったるポイントを次つぎに狙い打ちしているイメージだ。
そして明るくなるにつれアタリが増えてくる。10メートルなんて浅場は暗いうちだけかと思っていたら、まったくそんなことはなく、逆に8メートル、7メートルと浅くなるのだから驚きだ。
船長の話では、「ここら辺りのヒラメは夕方から夜にかけてイワシやアジを追いかけて浅場に入ってくるんだと思う」とのこと。
今日は潮が流れず食いが今イチだけど、普段ならもっとアタリがあるようだ。サメやウツボといった嫌われ者のゲストも登場したが、こんなのも潮が流れないときによく食ってくるようだ。


ヒラメを釣るためのエサ付けのコツ
エサのイワシが小さいときは孫バリは背中に掛けるのがおすすめ。肛門付近への腹掛けに比べ、イワシへの負担が少なく弱りづらい。トリプルフックよりもシングルフックのほうが軽いためなおよしだ。背掛けとシングルフックはともに根掛かり対策にもなるから、とくに岩船沖など根周りを狙う釣り場では有効だ。
良型ヒラメ連発
2時間ほどして私も竿を出す。と、着底してタナを切っている最中に早くもアタる。グンともたれるように竿先が押さえ込まれ、その後たいして時間を置かずガツガツガツッときた。船長のタモ入れを遠慮するサイズだったが、幸先のいい1枚に気分は悪かろうはずもない。
そしてこの次の流しで良型が連発する。まずは左舷ミヨシの若林さん。「ちょっと大きいかも」と竿を大きく曲げてヤリトリ。船長に無事にタモ取りされたのは後検量3.9キロのヒラメ。聞けば若林さん、アジングも大好きだそうで、出船前に港で釣ったアジをエサにしていたとのこと。早起きは三文の徳の作戦勝ちの一枚だ。
次なるアタリは私の竿。ガツガツッときたあとに、こいつもそう間を置かずグググンとバット付近まで曲げ込むような引き込みがきて、大きく竿を持ち上げて合わせるとハリ掛かり。直後にガンガンと引きまくったので青物?が頭をよぎったが、途中まで巻くと比較的おとなしくなり時折鈍くグッグッと引き込むだけになる。そして無事取り込んだのは1.9キロの食べごろサイズだった。
私がヤリトリをしている最中には、右隣にもアタリが出ていてこちらも3.5キロ。なんと10分たたずに良型ヒラメ3連発だ。

その後も1.5キロ級が何枚か取り込まれたが、日が高くなりアタリが徐々に少なくなってきて、9時前にこの日初めての移動となる。といっても走ったのは5分ほど。水深は14メートルとのことで、史丸が狙うポイントしてはこれでも深いほうなのだそうだ。
ここでも仕掛けを入れてすぐに私にアタるがこれは1キロ弱級、左舷では1.5キロ級のヒラメも取り込まれた。
そして再度竿を大きく曲げたのが左舷ミヨシの若林さん。上がってきたのは3.8キロのキレイなマダイでビックリだ。アジは使い切りこれはイワシエサに食ってきたそうだ。10時近くになって岩和田沖の水深11メートルへと足を延ばすも、ここではアタリがなく30分少々で退散。徐々に港へ戻りながらあちらこちらと探っていく。どのポイントも浅く、ときには水深6メートルなんて超浅場を流すこともあった。
狙い方は朝から同じでピンポイントを次から次へと狙っていくラン&ガンといった感じ。アタリがないとすぐ移動の合図が出るから釣り人としても集中して釣りができる。個人的には大好きな釣り方だ。
ただ後半戦はアタリが遠くなった。それでも移動のたび船中どこかではヒラメが上がるから気持ちは切れない。そして私にも再度のアタリが出るがこれはギュンギュンと元気一杯、想像どおりのイナダだった。
この後も何カ所か探って数枚を追加。常連さんの話では5キロ級の大ビラメも釣れるという港至近の水深5メートルのポイントも狙ったが、この日は不発で沖揚がり時間を迎えた。
釣果はトップ3枚とややのび悩み、「潮さえもう少し流れれば」と船長は残念がるも、どうしてどうして。船中20枚と平均して釣れていたし、型は小型も交じったが、3.9キロを筆頭に3.5キロと続き、1.5〜2キロ級は何枚もあって文句なしといったところだ。
今後も史丸ではシケで浅場が底荒れしない限り、岩船沖の浅場を中心に良型ヒラメを狙っていくとのこと。スリリングなヒラメ釣り、一度やるとやみつきになりますよ。

◀︎ 当日の仕掛け
根周りを狙う岩船沖のヒラメ釣りでは捨て糸は30 センチと短めにする。「長いと根掛かりが多くなるから」と船長。ただし防ぎようのない根掛かりもあるから、オモリは多めに持参しよう。幹糸部分が切れることはまずないから、ハリを結んだハリスと捨て糸を持参すれば、それぞれをサルカンに結び直すだけなので、時間とコストを節約できる。
船宿infomation
史丸
▶︎料金=ヒラメ乗合 一人1万3000円(エサ、氷付き)
▶︎備考=予約乗合、5時半出船。午後船一つテンヤマダイ、ルアーへも出船




