外房大原沖の冬場の釣り物は中深場や深場釣りを除くとヒラメ、テンヤマダイ、フグが3本柱。最近それに割って入る人気なのがマハタだ。今回は第一松栄丸のハタ・ヒラメ船にお世話になった。
第一松栄丸のハタ・ヒラメ船は基本的にハタをメインに狙う。ハタとヒラメはほぼ同じタックル&仕掛け、生きイワシエサだが、釣り場はハタが航程40分ほどの沖合なのに対し、ヒラメは灘寄りの近場周辺と変わってくる。リレーで狙うようなことはなく、ヒラメはあくまでもポイントによっては交じることもあるといったスタンスだ。
開始早々に良型がきた
当日は私を含め6名が乗船。ほとんどの方が貸し竿でこの釣り初めてという人もいて、出船前に船長からエサの付け方、釣り方のレクチャーがあった。
要約すると、エサ付けは親バリを上アゴの硬い所に刺し、孫バリは背ビレの後ろに。これを手早くやってイワシを極力弱らせないように。釣り方はオモリが着底したら2〜3メートル巻いてアタリを待つ。海底は平らではないからまめにタナを取り直すように、というものだ。
5時20分過ぎに出船し、40分近くかけてポイントに到着。「いいですよ。水深は40メートル」とアナウンスが出て釣り開始となる。

暗闇の中、まずは船内の様子をうかがっていると1投目から左舷胴の間で竿が曲がる。「慌てないでゆっくり巻きなよ」と船長から声がかかり海面に浮かんだのは本命のマハタ。無事仲乗りさんにタモ取りされたのは1キロオーバー。続いて右舷でもアタったがこれはカサゴだった。
前日はトップ11尾で、当日は朝一からアタリが連発したので今日もいけるかも!?と期待したが、ここからは食い渋った。どうやら潮が流れていないようで、予報に反し北風が強く船がかなり揺れるのもマイナス要因のようだ。「ハタはほかの魚に比べても水温や海況の変化に敏感みたいで、一日でガラッと食わなくなったりするんですよ」と船長。船長はアタリがないとみるや短いインターバルで、「はい上げてー」と次つぎにポイントを移動していく。
しかしなかなかアタらない。カメラをブラ下げた私も手持ち無沙汰で、次の流し変えから竿を出すことにした。


生きイワシエサの釣りにおすすめのゴム手袋
普段手袋はしない派なのだが、この時期の生きイワシを使う釣りだけは別。手が濡れて冷たいというのもあるのだが、薄手のゴム手袋をしていると不思議とイワシが暴れないし、ウロコも剥がれにくいからだ。私が使用しているのは医療用のゴム(ラテックス)手袋。なかなか丈夫で重宝している。歯科医の釣友からのいただき物だが、ネットでも購入できるようなのでお試しを。
食いが上向きオデコなし
合図が出てすぐに仕掛けを投入。トンとオモリが着いてクリクリと3メートル巻いて待つと、いきなりゴンゴンと竿先がたたかれた。
聞き合わせるとグッグッとハリ掛かりが伝わり「おっ、きたね」と船長の声がかかる。
しかし巻き上げ途中の引き込み、重量感はたいしたことなく、仲乗りさんのタモ取りも申し訳ない30センチ級に苦笑いだ。
その後1キロ級のまずまずサイズで3尾目を追加したが、そこからまたもや沈黙タイムへと突入する。
そして残り1時間半ほどとなった9時半過ぎ。場所変え直後の1流し目。「浅くなってきたよ」の船長のアナウンスで底ダチを取り直し、タナを取るのにタダ巻きではなく、ふとした遊び心でスッと50センチくらいシャクっては止め、シャクっては止めでアピールのつもり。そして2メートル半ほど巻き上げたところで竿先を押さえ込むようなアタリが出た。
ヒラメを思わせるようなアタリだったので、そのままのテンションを保ち次の引き込みを待つとゴツ、ゴツ、ゴツときた。3つ目の『ツ』あたりで竿を立てるとなかなか重量感のある引き込み。「今度はデカそうですね」と仲乗りさんがタモを持ってスタンバイしてくれる。武骨な引き込みを楽しみながら巻き、無事タモ取りされたのはなかなかの良型。「2キロはあるかな」と仲乗りさんと同じ見立ても、船上計測したところ2.6キロあった。マハタは見た目よりも意外と重量があるものだ。
潮もトロリと流れ出し、時合がきたのか周りでもポツポツとマハタが上がり出した。これは我われの船だけでなく近くを流す僚船も同じだったようで、「よその船も全然ダメだったのにアタリ出したって。ほんとハタはちょっとしたことで状況が変わるんだよ」と船長。
この後、小型を1尾追加してそろそろ沖揚がり。「この流しで揚がりますよ」のアナウンスに置き竿にして片付けを始めていると、「アタってますよ」と仲乗りさんの声。慌てて竿を手にしたがその後のアタリは消えた。まだエサが残っていればと、すかさず底まで仕掛けを下ろしタナを取るとすぐにガツガツときて小型ながら有終の美を飾ることができた。
釣果は2.6キロを頭に一人1〜6尾。ゲストはカサゴとキントキでヒラメは顔を出さなかった。前半は食い渋りで小型も多かったが、終わってみればハタ釣り初めての方も釣れてまずまずの一日だった。「ハタはヒラメよりも簡単ですよ」と船長。エサを追えばほぼ一発で食い込み、ヒラメのように合わせのタイミングを見計らう必要がないからで、エサ付けとタナ取りさえできればビギナーにも超高級魚ゲットのチャンスは大ありなのだ。大原沖のハタ・ヒラメ釣りの好期はこれからまだ続く。


◀︎ 当日の仕掛け
大原沖のマハタ狙いの仕掛けは基本的にヒラメ仕掛けと同じでOK。心配ならハリス8号でもいい。ただし「あまり太いハリスだと食いが悪いみたい。よほど無理しなければハリス6号で4~5キロのハタも取れるよ」と船長。
船宿infomation
第一松栄丸
▶︎料金=ハタ・ヒラメ乗合 一人1万3000円(エサ、氷付き)
▶︎備考=予約乗合、4時半集合。ヒラメ、フグへも



