1月下旬、茨城県南部の鹿島沖でヤリイカがスタートしたのに続き、2月に入ると北部海域でも釣れ出し、平潟港の第15隆栄丸ではトップ50杯を超える釣果を記録した。
取材協力の電話を入れるも連日のシケに阻まれ、ようやく出船できたのは2月15日。早朝4時過ぎ、船着き場前にはこの日を心待ちにしていた釣り人たちが集合した。

サバに邪魔され苦戦
左右舷に8名ずつの満席で、私はカメラと弁当のみを抱えて乗船、4時半過ぎに出船。港口を出ると東南へ針路を向ける。
航程はおよそ1時間半。6時に釣り場に到着となる。「オモリは150号を付けてください。ではやりますよ」ブザーが鳴り、水平線に朝日が昇り始める中、釣り開始。
「水深は140メートルです。底から10メートルくらいまで誘ってみて」とのアナウンスのあと、着底と同時に何人かの竿にはサバがヒット。早々にあちらこちらでオマツリ騒ぎが起きる。
流し変えながら40分ほど経過したが、この場所でのヤリイカからのシグナルはなく10分ほど沖めに移動となる。「オモリ200号に替えてください。少し深くなります。180〜200メートルです」
ここでようやく右舷ミヨシ2番の田代さんが船中1杯目をキャッチ。それに続き左舷4番の君島さんもゲット。どちらもパラソルとまではいかないが胴長30センチほどのグッドサイズだ。
流し変えると左舷ミヨシ1番の山脇さんがニセイカサイズのスルメイカを、隣の原口さんにはスッテにマルイカが乗ってきた。「群れが抜けちゃったのかなあ。シケ前は大ヤリばかりでこんな小さいのは交じらなかったんだけどなあ」と船長。
確かに釣れ上がるイカのサイズはパラソルとはいいがたいサイズ。胴長20センチに満たないメスイカもチラホラ。

中盤はサバの邪魔ばかりだったが、後半朝一のポイントに戻るとダブル、トリプルでのキャッチやパラソルサイズの登場にプチ盛り上がり、しかしここで時間切れ。釣果は0〜8杯と振るわなかったが、後半に好転の兆しが見えたので明日に期待しよう。
ということでそのまま居残って翌16日も乗船。この日も16名の釣り人を乗せ、昨日と同じポイントに向かったが、反応がなく、9時過ぎまで船中イカは0と昨日より厳しい状況に。そこで船長から、「30〜40分走ります」とアナウンスがあり、意を決しての大移動。日立の手前あたりの沖、水深150メートルで再開。
ここで私も竿を出すことに。7本ヅノでスタートしたが、すぐにサバが掛かってしまうので、思い切ってツノ数を2本にしてみた。


オマツリは避けられないが軽減はできる
人気の高さから平日でも満席になることも珍しくない。乗船者が多いときはツノ数を欲張らず5本以内にするほうが賢明だ。
サバが掛かったら、まずは竿を大きく振ってみる。掛かりが浅ければ外れてくれるのでそのまま釣り続行。外れなければツノを飲んでしまっていることが多いので仕掛けを回収することになるが、ゆっくり巻き上げはオマツリの元凶となるので全速で行うこと。
釣っている最中にオモリがなくなったようにフワッと軽くなったときは、だれかの仕掛けとオマツリし、巻き上げられていることが多い。道糸をフカせたままにしておくとオマツリをさらに悪化させ解けるものも解けなくなってしまう。軽くなったらテンションがかかるまで全速で巻き上げ、巻き上げが追いつきテンションがかかったら相手の人と同じ巻き上げ速度にすること。少しでもオマツリを軽減し、ロスタイムを削減しよう。
誘わないほうが乗る
それでもシャクリを入れるとやはりすぐにサバが反応してくるので、以降シャクリはせず、ロッドキーパーに竿をかけたまま船の揺れでオモリが底をたたく程度のゼロテンで10秒ほど待ち、速度2の電動微速巻きで2メートルほど巻き上げる。前号の巻頭特集で紹介したゼロテン&タダ巻き釣法だ。
すると竿先が引き込まれた。竿を手に取り聞き上げるとグイ、グイ〜ンとイカの抵抗が伝わる。巻き上げレバーを起こすとなかなかの重量感。上がってきたのはヤリイカ。しかも肉厚のパラソルサイズだ。 イカを取り込み終えると、ツノも2本だから投入器を使うまでもなく、吹き流しでオモリを放り込むだけとあっという間に再投入を完了。そしてまた置き竿のゼロテンで待っているとグイグイ〜ンと竿が引き込まれ、今度はスルメと大ヤリの2杯掛け。
シャクらなくてもサバは掛かってくるが、アタックされる確率はシャクリを入れたときより格段に低い。
2本ヅノだから多点掛けは望めなくとも、サバにアタックされロスタイムを過ごすより、地味でも着実に1杯ずつ重ねていくほうが得策。
この流しで私は6杯をゲット。型もまさに茨城県沖名物のパラソルサイズばかりだ。邪魔物扱いされるサバも半数は大型のマサバ。これはこれで大事にキープする。
私の連釣を見ていた方もツノ数を減らし、ゼロテン&タダ巻き釣法を試したところすぐにヤリイカを確保。「置き竿のほうが乗るよ」とすぐに仲間たちに伝達。「動かさないで置き竿にしておきな」と、船長もまだオデコを脱していない人にアドバイスするほど。
ダブルも見られ、左舷ミヨシ3番の菊池さんはトリプルを披露。やっと巡ってきたシャッターチャンス、カメラを抱えて船内を走り回る。
オデコがいなくなったところで沖揚がり。期待の爆乗りとはいかなかったが、サバに邪魔されながらも後半は地味に数を重ね、トップは右舷大ドモの長谷尾さんで15杯。
肉厚ビッグサイズ。こんなヤリイカなら10杯も持ち帰ることができれば大満足だ。「底曳き網船は連日大漁。イカは広くいるよ。群れが固まってくれば大釣りのチャンスだよ。春に向けて水深も浅くなり、釣りやすくなってくるから楽しみにしてて」と船長。例年どおり5月の連休明けまで釣れ続くことに期待しよう。

◀︎ 当日の仕掛け
今後は釣り場も水深100メートル以浅に移行していく。それにともない、オモリも120号、80号と軽くなるので、出船前日までに使用オモリの号数を確認しておこう。
船宿infomation
第15隆栄丸
▶︎料金=ヤリイカ乗合 一人1万5000円(氷付き)。釣り場により料金に変動あり
▶︎備考=予約乗合、4時半出船







