近年は冬もマダイが釣れるようになった常磐方面。茨城県日立会瀬(おうせ)港の弁天丸でも周年の釣り物として一つテンヤマダイを看板に掲げている。
日立会瀬沖といえば本命マダイに加え、多彩なゲストが期待できるところ。さっそく2月16日に出かけてみた。
前日までは強烈な寒波に見舞われていた関東地方。ところが運のいいことに日立会瀬に来てみれば夜明け前の気温は7度。まるで春のような暖かさが出迎えてくれた。
夜明け前から釣れ出す
午前5時15分に集合。この日は満船16名の釣り人が乗船する盛況ぶり。受付が済むと同30分に出船となった。
前々日までは強風が吹き荒れていたそうだが、この日はわずかにウネリが残る程度で弁天丸は揺られずに走り、約40分でポイントに到着。すぐさまパラシュートアンカーが投入されて準備完了となる。「水深は62メートルです。どうぞ」開始時刻は6時10分。私を除く皆さんが一斉に仕掛けを投入した。すると開始から約10分、左舷ミヨシ2番で早くも本命のマダイが取り込まれる。タックルはテンヤ。型は25センチと小ぶりながら、本命が釣れてひと安心。
続く第2号は右舷大ドモ氏。こちらは30センチを超すサイズでタックルはタイラバ。着底させてからリールのハンドルを20回くらい巻いたところでアタったとのこと。
続けては左舷胴の間でも同サイズのマダイがテンヤに食ってきた。

さらに立て続けに釣れたのはカサゴ、ウスメバルといったおいしい根魚。型もよく、いいお土産を手にして皆さんニッコリ顔となった。
6時半を過ぎると曇り空ながら夜が明けた様子。すると右舷大ドモ氏にまたもやヒット。今度はサイズアップして600グラムくらいのマダイ。
話を聞けば最初のタイラバヘッドは60グラムだったそうだが、潮が若干速くなったので90グラムに替えたところ、すぐに食ってきたとのこと。アタったのは底に近いところだったと教えてくれた。
その後、ウスメバルが何尾か釣れ、25センチくらいのハナダイも。6時50分には右舷ミヨシ2番で30センチ弱のマダイが上がったが、こちらはテンヤにヒットした。
流し始めてから40分。ここまでの状況は釣れるときはバタバタッと数人にヒット、少し間を置いてまた数人が続けてヒット、の繰り返し。おそらくは船が流されて根などの上を通過するたびにヒットしていると思われた。
その後はリールが巻かれるペースが落ちるが、7時15分、左舷胴の間で30センチオーバーのアマダイが取り込まれると一つ置いた席でも同サイズのアマダイが続けて釣れる。
根が連続するポイントながら砂泥地もいくらかあるのだろう。いずれにせよ、アマダイは歓迎されるゲスト。手にした二人は満面の笑顔で写真撮影に応じてくださった。
アタリが遠のいた7時55分、弁天丸は流し変え。最初のポイントから5分ほど走って再びパラシュートアンカーが入れられる。
その間に確認したところ本命マダイを手にしたのは3割ほど。トップは3枚ながら良型メバルを筆頭に多彩なゲストがオケに入っていて、皆さん楽しんでいる様子だ。


ビギナー向けの釣り方
船長にビギナー向けの釣り方を聞くと、「一つテンヤの場合はオーソドックスなタックルを使い、この時期の深場狙いなら15号くらいの重めのテンヤから使い始めるのがいいでしょう。狙うポイントが少し根の荒い場所ですのでタナは底を切るのが基本。その都度タナをアナウンスしますので参考にしてください(当日は底から3メートルくらいが多かった)。
誘いは欠かさずに。一般的なのは竿一杯まで誘い上げてゆっくり下ろすリフト&フォール。また、アタリがあれば即合わせでいいと思います。 テンヤに限らずタイラバ、ジグでも釣れますので、幅広く楽しみたい方はそれぞれのタックルを持ち込んでください」
2匹目のマダイを狙う
「水深は60メートル。下から3メートルほどに反応が出ています」船長のアナウンスで再開。ここで私も仕掛けを下ろす。 席は右舷ミヨシ3番。固定式の12号テンヤをセットして始めると、潮の速さに負ける感じ。そこで、すぐに15号にチェンジして投入。底を取ってシャクリ上げ、再着底させるとモゾッとしたアタリが手に伝わった。
それに合わせると何か小魚が掛かった様子。巻き上げてみればキュウセン。「これがたくさんいたらエサは秒殺されるはず」そう思って、次は着底したらすぐに巻こうと考えたが、着いたところで何やらコツン。先ほどとは違う感じなのでそのまま底で待ち、次にアタったところで合わせた。
すると確かな手応えがあり、取り込んでみればやはり本命。後検量500グラムながらうれしい1枚となった。
船長のアナウンスでは下から3メートルに反応ありとのことだったが、底で釣れたことに気をよくし、2匹目のドジョウならぬマダイを狙う。
するとその15分後。毎回のベラ攻撃に耐えつつ、手返しよく仕掛けの入れ替えをすると、またもや底ベタでコツンとしたアタリ。これに乗ってきたのはサイズアップした後検量550グラムのマダイだった。
その後の船中はマダイ、ハナダイ、メバル、オニカサゴ、ホウボウなどが各席でヒット。それぞれのオケは順調に埋まっていく。
まずは左舷トモ3番氏。こちらはタイラバで1キロ級のマダイをゲット。きれいな魚体だったのでトモの日の当たる場所でじっくり撮影させていただいた。
それに続いては右舷ミヨシ席で700グラム級のマダイがヒット。こちら右舷ミヨシ席に座っていたのは地元にお住まいの杉山さん。隣の釣友とはこの船によく乗るそうでタックルはテンヤとジグの二刀流が常だという。
3度目の流しは9時50分から。水深は59メートル。
ここでマダイを釣ったのはまたしても右舷大ドモ氏。今度はタックルをジグに替えてサイズアップとなる1キロクラスをものにした。

「使ったのは100均で売っていた120グラムのジグです」時間を追うごとに釣れなくなってきたメバルだが、右舷胴の間ではジグに良型メバルがダブルでヒット。この時間帯のテンヤ組は全体に低調気味だっただけに、ジグの活躍が目立った。
その後は11時過ぎに小移動。ここではパラアンカーは使わずドテラ流し。すると私に25センチクラスのハナダイが掛かり、皆さんもポツポツとヒット。それぞれに釣果をのばし、やがて沖揚がりの11時45分を迎えた。
小型ながらマダイのトップは左舷胴の間氏の6枚。次が右舷大ドモ氏の4枚。
船長によれば、約2週間前には1〜2キロクラスのマダイが船中20枚くらい釣れたとのことでちょっと残念そう。シケが続いたあとなので天気が安定すれば釣果のほうも上向くと思われる。
しかしながら多彩なゲストが釣れ、みなさん満足顔で下船。今後は乗っ込み期の大ダイにも期待できるとあって大いに楽しみだ。


◀︎ 当日の仕掛け
竿は全長2.3メートル前後の一つテンヤ用、シロギス用など。タイラバ、スロージギングなら全長2メートル前後のゲームロッドなど。道糸はPE0.8号を推奨、リーダーはフロロ2.5号前後。取材時のポイントは水深60メートル前後だったので、テンヤの号数は10~15号がおすすめ。慣れない人は重め(15号)を使ったほうが確実。取材当日に使われていたタイラバのヘッドは60~90グラム、ジグは120グラム前後。
船宿infomation
弁天丸
▶︎料金=マダイ乗合 一人1万1000円(エサ、氷付き)。女性、中学生まで9000円
▶︎備考=予約乗合、5時出船。アマダイへも出船







